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1.少子化による42年後の姿

 人類はその始まりと共に結婚し子供を生み育ててきました。世界のどの国の人たちも例外はありません。子どもの多さはその国の存続と発展のシンボルです。
 日本政府は1990年に、合計特殊出生率が1.59人になったことにショックを受けて、1994年から少子化対策を取り始め、少子化対策の関連法の制定や閣議決定、少子化社会対策会議の決定など多くのことが行われました。しかし、少子化は今でも進んでいます。その恐ろしい実態を見てみます。

1.1. 少子化の現状と推計

 1人の女性が一生の間に生む子供の数を平均して計算する方式が決まっていて、その数値を合計特殊出生率と言います。
 日本の場合の合計特殊出生率の推移を図1—1に示します。

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 図1—1に見るように、2020年には1.33まで合計特殊出生率が低下しました。男女2人が結婚して一生の間に平均で1.33人の子供を生んだのです。2人が1.33人になったのです。これが少子化と言われる人口減少です。図1—2は子供の出生数の推移です。

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 図1—2 は2008年までなので、2020年までの出生数を図1—2Aで補いました。

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 出生数の低下は合計特殊出生率の低下によるものです。合計特殊出生率の算出方式から考えると、この率の低下は、女性の未婚者の増加、晩婚化、離婚数の増加、出産期の逸脱などが影響しており、単に一人の女性が一生の間に小人数しか生まないことだけを意味していません。このような複雑な要因が合計特殊出生率の低下となり、少子化をもたらしているのです。
 図1—3は年少人口(0~14歳)と労働人口(15~64歳)の推移を示しました。図1—3は2020年までは実績値でそれ以降は推計値です。出生数の低下は年少人口の減少となり、年少人口の減少は数年後には労働人口の減少となって日本の国力を弱めます。この様子が図1—3から見て取れます。この図1—3では、15~64歳までの人を、日本や国際的な慣例に従って労働人口としました。

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 少子化は一定の時間の遅れを伴って日本の総人口の減少となり、同時に高齢者比率の増大となります。この様子を図1—4に示します。

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 図1—4を見れば、42年後の2065年には、総人口は8,808万人となり、65歳以上の高齢者が約4割を占め、高齢者比率の増大により日本の活力は確実に失われます。
 日本は2065年までに3,998万人の減少が予測されており、これは北海道・青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・新潟県・富山県に住んでいるすべての人々が消えることに相当します。この広い地域での無人状態を想像して下さい。恐ろしくなります。
 合計特殊出生率が低下した結果、日本の人口ピラミッドは図1—5のように不安定な形になっています。底辺の広い本来の安定したピラミッド型ではなく、底辺の狭い異常な年齢別人口構成であることを示しています。

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