スライド10

10.10.少子化対策の突破口を開く

 先に記した事項は専門家を含めて、多くの方々の検討が必要であり、ある程度時間が必要かと思われます。そこで少しでも少子化対策を進めるために、出来ることから始めるのが良いと思います。
 その第一は、民間部門と地方公務員・国家公務員の中で、正社員・正規職員と同じ仕事を担当している25~59歳の非正規雇用労働者・非正規公務員に対して、正社員・正規職員との大きな待遇差別を解消することです。この差別を解消して、非正規雇用労働者の待遇を引き上げても、民間企業の内部留保の増加が少なくなるだけで、問題ありません。このことは、本書の「2.7.企業の内部留保と雇用形態」で記したように、民間企業にとって直ちに実施可能であると言えます。
 地方自治体においても、69万人の非正規職員がおり、この人たちは正規職員の補充として採用されていることが、本書の「2.6.地方公務員の非正規雇用の実態」でわかりますので、元々は正規職員の予算が組まれていたはずです。この非正規職員の給与を正職員並みに戻しても、元の予算と同じ人件費を設定すれば良いだけのはずです。すなわち、その地方の予算編成段階で解決できる課題です。
 国家公務員の中の正職員と同じ仕事をしている非正規職員を、正職員並みの待遇にする課題は、国の多額の予備費などで対応可能な範囲だと思われます。
 その第二は深夜残業や60時間を超えるような長時間残業を減らし、男性の子育て支援の時間を増やすことです。これは企業などの経営トップ層と仕事現場の管理者の強力な指示が有れば、必ず実現できると思います。もちろん残業する本人の意識と仕事に対する取り組み方の問題がありますが、これも上司から残業を禁止されれば、それを無視して残業する人は少ないと思います。
 残業の多い企業や組織体はダメ企業でありダメ組織であるとのイメージをテレビや新聞を通じて、また論議や教育を通じて日本社会に広めることも有効と思われます。