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10.8.法人税と所得税の見直し

 見直すべき税制は法人税、所得税、消費税です。消費税は別項で記します。
 法人税は財務省資料によると図10—1、図10—2、図10—3の通りです。

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 財務省は次の考え方で、直近の法人税改革を行ったと記しています。
法人課税をより広く負担を分かち合う構造へと改革し、「稼ぐ力」のある企業等の税負担を軽減することで、企業に対して、収益力拡大に向けた前向きな投資や、継続的・積極的な賃上げが可能な体質への転換を促すため、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」という方針の下で法人税改革が進められました。
 しかし、現実には前向きの国内投資は図10—4のようにほとんど無く、労働者の賃金は低下傾向にあり、財務省の意図が達成されていません。


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 その原因は図10—1の税制には、日本国内で得た利益と、海外から得た利益の区分がなされていないためだと思います。海外から得た利益には、国内から得た利益と大きな性質の違いがあります。
 国内生産では、労働者に賃金を支払い、所在地の地方自治体には県民税や市民税を支払い、国内の電力・ガス・土地・仕入れ先などいずれもお金を支払った上に立脚して、利益が得られています。
 一方、1996年以降で261兆円もの海外投資がなされています。投資者が日本で開発された製品を海外で生産販売して利益を得た場合には、国内の労働者は仕事を失った上で賃金の引き下げ圧力に直面し、電力・ガス・土地・仕入れ先など国内の企業は売り上げが減りその分納税も減り、地方自治体も県民税や市民税が無くなり、海外投資をした企業や人だけが大きな利益を独り占めして、貧富の差を拡大しています。
 現在の法人税はこの大きな差異を考慮せず、貧富の差の拡大を助けているのです。海外からの所得に対する課税の在り方を基本的に見直し、富が偏って存在し、貧しい人が増えている現在の税制を見直すべきではないでしょうか。
 個人の所得に関しても、一定限度を超えた高額所得を得た場合には、高い所得税率を課すべきだと思います。その根拠は、海外で生産販売できるのは、投資者だけの力ではなく、それまでに蓄積された技術で製品を開発した人や、生産方法を考えた人や、協力した仕入れ先や材料メーカなどすべての人のそれまでの貢献が有ったためです。それらが無視されて、投資者だけが海外から報酬を得るのは不当だと思われます。海外への投資者はそれまでに国内で関連していた人々の分まで利益を独り占めしている面があるからです。これを税制で補正して国庫の収入を増やし、間接的に国民に還元するべきではないでしょうか。
 富が一カ所に集中して蓄積されずに、適切に分配されて、一般の労働者が結婚して子供を生める賃金にして、少子化を阻止する税制改革が求められています。この税制改革は少子化対策の大切な一翼を担っていると思います。