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2.6.地方公務員の非正規雇用の実態

 東京新聞・経済・2022年3月19日には次の記述があります。

手取り14万円の劣悪な待遇…非正規化進む地方公務員、15年で1.5倍に「公共サービス持続困難に」。

 そこに掲示されていた図を図2—12として引用しました。

2-6-1

 地方自治総合研究所の上林陽治研究員の調査では、「年収500万〜700万円の正規職員と比べ、(非正規雇用者の年収は)その3〜4割の水準にとどまる。」と記されています。すなわち、年収180~280万円です。
また、FinTech Journal のビジネス+ITには、2017.10.03掲載“地方自治体で非正規職員が急増、「絶望的な格差」は法改正では解消できない”とするテーマに政治ジャーナリスト高田泰氏のコメントが掲載されていましたので、次に引用させてもらいました。
全国の地方自治体で非正規職員が急増している。総務省が2016年4月現在で実態調査したところ、都道府県、市区町村を合わせて64万人に達し、2005年に比べて4割も増えていた。退職者補充を非正規で対応してきた結果で、自治体が官製ワーキングプアを大量生産している格好。
「このままでは雇用の劣化が行政サービスの低下を招きかねない」と警鐘を鳴らす。5月に待遇改善を求めて地方自治法、地方公務員法が改正されたが、問題解決には悲観的な見方が出ている。

 以下も同記事からの部分的な引用です。同記事によると、自治体の非正規職員比率は平均的に31%であり、多い所では45%に達する町もあるとのことです。非正規雇用者に対してはほとんどの自治体は手当などを支給していません。
 上林研究員は総務省のデータから非正規一般事務職の平均年収を162~207万円と推定しています。正規職員の平均年収は660万円程度です。
 地方公務員の中には教師や講師も非正規の人がいますが、最低賃金に近い給与の非正規採用では優秀な人材は教師や講師になりません。NHKの2022年2月24日18時55分のWEB特集「教育現場を支える非正規教員9万8,000人」によれば、正規職員の教員と仕事の内容や責任は変わらないのに、給料は約10万円以上少ないとの証言があります。以前の正規教員の経験を活かして再び教員になり、10年以上も非正規教員としての契約を繰り返しています。正規の教員は昇級しても、非正規の教員の給与は全く上がりません。非正規の制度はやる気を失わせています。特に小中学校の先生は子供に対する影響が非常に大きいので、単に知識だけでなく人としてのレベルが重要です。優秀な先生の教室からは多くの優れた人が育っています。非正規者の正規化を進め、同一待遇にすることが必要です。
 このように多くの非正規雇用者に対して同一労働同一賃金の原則を無視した不条理な差別待遇が平然と行われているのです。この解決には誰が責任をもって取組んでくれるのでしょうか。