![スライド8](https://livedoor.blogimg.jp/shoushikataisaku2023/imgs/d/1/d169e7a7.jpg)
2.8. 企業の内部留保と非正規雇用労働者
すでに見たように、企業や地方公共団体などの職員・従業員の身分は正規従業員・非正規従業員に分かれています。この制度は従業員を雇う立場からすれば採用人員の柔軟性が確保され、経費を削減し利益を増やせるので好ましいことです。
一方、雇われる人の立場ならすれば、パートやアルバイトなど自由に働く時間を自分で選べる必要がある場合を別にして、正規従業員と同一の仕事をしているいのに非正規雇用従業員であるからとの理由で賃金を結婚できないほど低く抑えていることは、困った問題です。
このように、非正規雇用従業員の賃金を正規雇用従業員の30~45%に抑えることで、企業の利益剰余金(内部留保)がどのように推移しているかを調べました。令和4年9月1日、財務省発表の「年次別法人企業統計調査(令和3年度)」の「第六表 利益剰余金の推移」より図2—14と図2—15を作成し次に示しました。
一方、雇われる人の立場ならすれば、パートやアルバイトなど自由に働く時間を自分で選べる必要がある場合を別にして、正規従業員と同一の仕事をしているいのに非正規雇用従業員であるからとの理由で賃金を結婚できないほど低く抑えていることは、困った問題です。
このように、非正規雇用従業員の賃金を正規雇用従業員の30~45%に抑えることで、企業の利益剰余金(内部留保)がどのように推移しているかを調べました。令和4年9月1日、財務省発表の「年次別法人企業統計調査(令和3年度)」の「第六表 利益剰余金の推移」より図2—14と図2—15を作成し次に示しました。
![2-8-1](https://livedoor.blogimg.jp/shoushikataisaku2023/imgs/c/8/c8abedec-s.jpg)
図2—15によれば、日本の全産業で2021年には516兆円の内部留保が蓄積され、その多くが資本金1,000万円以上の非製造業の企業に蓄積されています。
![2-8-2](https://livedoor.blogimg.jp/shoushikataisaku2023/imgs/e/c/ec4b1ee1-s.jpg)
資料:令和4年9月1日、財務省発表の「年次別法人企業統計調査(令和3年度)」の「第六表 利益剰余金の推移」
企業は、非正規雇用労働者の賃金を低く抑えて、516兆円もの膨大な内部留保を蓄積しています。もし、非正規雇用労働者の賃金を600万円に引き上げたと仮定したら、この内部留保金額はどうなったのでしょうか。
非正規雇用労働者2,084万人の内、不本意非正規雇用労働者の数は630万人程度と想定されるので、この人たちの賃金を現在の年収200万円から600万円に引き上げると仮定すれば、必要な資金は 630万人×(600-200)万円/人=25兆2,000億円
となります。2021年の全産業の内部留保金516.47兆円のうち、前年度からの増加金額が32.1兆円なので、25.2兆円を非正規雇用者の給与引き上げに使っても、まだ6.9兆円の内部留保金の積み上げができます。
企業は非正規雇用制度により一部の従業員の賃金を低く抑えて利益を積み上げて喜んでいると思われますが、それは630万人もの人を結婚できないほどの低賃金に抑えて少子化を促進し、日本の根幹を揺るがす事態を招いているのです。これは企業が栄えて国と国民が窮乏する体制であると言えます。また、大企業と中小企業の財務の動向を、図2⁻16、図2—17として次に引用しました。
図2—16と図1—17を見ると、2000年からの20年間で、大企業も中小企業も賃金を低く抑えて、その犠牲の上に資金を大量に蓄積しています。
企業の内部留保金は2021年には516兆4,750億円となり、前年からの増加額は32兆1102億円です。その内25.2兆円を働く人の賃金増に還元しても、6.9兆円が企業の内部留保金の増加となります。すなわち、不本意非正規雇用者630万人の賃金を平均年収200万円から600万円に引き上げても、日本の企業はまだゆとりがあると言えます。
日本の企業は内部に膨大な資金を蓄積して、再投資による事業拡大や新規事業への投資をしていません。これは日本の企業のトップが先行きの安全ばかり優先して、本来の事業家としての働きをしていないことを示しています。その結果として、日本国内から516兆円の内部留保と120兆円の中小企業の現金と90兆円の大企業の現金を合わせた726兆円もの膨大な資金が企業の中に眠っています。この資金は本来であれば、一部は労働者に還元されて消費を盛り上げて景気を良くし、残りは再投資により日本国内に出回り、多くの関連企業や商店や人々を潤し、日本全体を活性化するお金になるべきものです。しかし、現実にはこの726兆円ものお金が企業に死蔵されているので、必要な部門に出回る資金が不足して日本は経済も研究開発や技術も停滞し、世界の中で落ちこぼれ国家に成りかけています。
この事実は、日本の企業のトップ層が、本来の事業家としての資質に欠けており、企業の先行きの安全のためにお金を貯めることしかできない人たちが多いことを示しています。
実業界におけるトップ層の人材の欠如をもたらしている原因は、発展しない企業では、「ひらめ」と言われる上司のご機嫌ばかり伺う人物が出世し、上司は本当に企業の発展に尽力して成果を挙げている人物を見抜けず、結果として企業の後継者に事業を発展させる力を持った人材が欠如したことだと思われます。
日本の中でも、優れた経営トップを戴いた企業は、必要な投資をタイミングよく行い、着実に発展しています。残念ながら、そのような素晴らしい企業の経営者が減ってきているのが実情ではないでしょうか。
そして、労働者の低賃金に依拠して、社内に資金を死蔵する経営者が増えた結果、非正規雇用労働者が広く採用され、貧富の差が拡大し、日本は停滞社会となり、少子化が進んだのです。
企業の内部留保金は2021年には516兆4,750億円となり、前年からの増加額は32兆1102億円です。その内25.2兆円を働く人の賃金増に還元しても、6.9兆円が企業の内部留保金の増加となります。すなわち、不本意非正規雇用者630万人の賃金を平均年収200万円から600万円に引き上げても、日本の企業はまだゆとりがあると言えます。
日本の企業は内部に膨大な資金を蓄積して、再投資による事業拡大や新規事業への投資をしていません。これは日本の企業のトップが先行きの安全ばかり優先して、本来の事業家としての働きをしていないことを示しています。その結果として、日本国内から516兆円の内部留保と120兆円の中小企業の現金と90兆円の大企業の現金を合わせた726兆円もの膨大な資金が企業の中に眠っています。この資金は本来であれば、一部は労働者に還元されて消費を盛り上げて景気を良くし、残りは再投資により日本国内に出回り、多くの関連企業や商店や人々を潤し、日本全体を活性化するお金になるべきものです。しかし、現実にはこの726兆円ものお金が企業に死蔵されているので、必要な部門に出回る資金が不足して日本は経済も研究開発や技術も停滞し、世界の中で落ちこぼれ国家に成りかけています。
この事実は、日本の企業のトップ層が、本来の事業家としての資質に欠けており、企業の先行きの安全のためにお金を貯めることしかできない人たちが多いことを示しています。
実業界におけるトップ層の人材の欠如をもたらしている原因は、発展しない企業では、「ひらめ」と言われる上司のご機嫌ばかり伺う人物が出世し、上司は本当に企業の発展に尽力して成果を挙げている人物を見抜けず、結果として企業の後継者に事業を発展させる力を持った人材が欠如したことだと思われます。
日本の中でも、優れた経営トップを戴いた企業は、必要な投資をタイミングよく行い、着実に発展しています。残念ながら、そのような素晴らしい企業の経営者が減ってきているのが実情ではないでしょうか。
そして、労働者の低賃金に依拠して、社内に資金を死蔵する経営者が増えた結果、非正規雇用労働者が広く採用され、貧富の差が拡大し、日本は停滞社会となり、少子化が進んだのです。
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