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3.3.長時間残業の実態

 結婚適齢期の男女が、結婚したいと思える相手に巡り合えるためには、仕事から解放された自由時間が大切です。結婚適齢期の人は、残業に明け暮れず、土曜日や日曜日は休日出勤に縛られずに、自由時間を持たないと、結婚相手に巡り会うチャンスは生まれません。『少子化白書』から「男性就業者の長時間労働の割合(国際比較)」を、図3-4として転載します。

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 図3—4によれば、日本の全産業・全就業者の男性就業者の労働時間は、週49時間以上の人の比率が21.5%になっており、主要国の中でトップの多さです。
 この日本の全就業者の人が週49時間以上の残業をしているデータの意味は大きいと思います。このデータにはパートタイム就業者や高齢者までも含まれていますので、実際の結婚適齢期の男性は週49時間以上の残業をしている人の割合が21.5%より遥かに多い可能性が隠されているからです。
 週49時間以上の労働時間は、毎日必ず2時間以上の残業をしていることを意味しています。これでは結婚相手に出会い、デートに誘うこともできません。そして過重な労働で休日は疲れ切って休んでいるかもしれません。
 さらに、週60時間以上の残業をしている男性の割合を『少子化白書』から引用し、図3—5 として掲載します。

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 週60時間以上の労働時間は4時間以上の残業を毎日していることになります。年間を通して毎日4時間以上も残業していたら、疲労がたまり、休日も家でゆっくり休まないと体がもちません。 
 図3—5を見ると、30歳代(青)と40歳代(黄緑)の人の割合が最も多くなっています。30歳代は結婚適齢期であり、40歳代は子育ての最中の年齢です。この年代が残業に明け暮れて結婚もできず、家事もできないでいることが少子化をもたらしている大きな要因の一つと推測されます。
 2020年に急激に週60時間以上の残業をしている就業者の比率が減少していますが、これはコロナ禍のために自宅で業務をするようになった影響であると思われます。たとえ長時間残業する人が減っても、日本人全員が街に出歩くことを自粛していた時期で、男性が女性に出会い、デートに誘う機会が増えることはありませんでした。
 この残業実態により、一度もデートに誘われたことのない30歳を過ぎた女性が巷に溢れていているとの噂の真相が、どこにあるかが見えてきました。若い男女が結婚したいと思う相手に巡り会えない大きな原因の一つは、結婚適齢期の男性の自由時間の少なさにあるのです。