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4.4. 結婚年齢と生涯不妊率との関係

 国立成育医療研究センターの齊藤英和医師(周産期・母性診療センター/センター長)は「日本は妊娠出産の基本的な知識を全く教育で伝えてこなかった」と指摘しています。

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 図4—4から、日本は先進国の中では最も知識レベルが低く、トルコに次いで二番目に低いことが分かります。

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 図4—5は、「日本人が知らない「年齢と妊娠・出産」の真実。20代、30代、40代で不妊治療の効果はどう変わる?」に記された女性の結婚年齢と生涯不妊率の図を引用したものです。
 女性の晩婚化が進むと、生涯不妊になる危険性が高くなります。以下の記述は、「日本人が知らない「年齢と妊娠・出産」の真実。20代、30代、40代で不妊治療の効果はどう変わる?【国立成育医療研究センター医師監修】」(Woman type 24 OCT/2021)から引用させてもらったものです。
 この図4—5は結婚年齢が高く成るに従って、生涯不妊率が高くなっています。30~34歳で結婚した場合15%の女性が生涯不妊となり、40~44歳で結婚した場合64%が生涯不妊となり、子供は実質的に生まれ難くなります。20~25歳で結婚した場合は、生涯不妊となる率は約5%であり、不妊となる率は少なくなっています。
 また、斎藤秀和医師は次のように指摘しています。

30代前半で不妊治療に来れば7~8割の確率で妊娠できるんですが、それが40代になってしまうと不妊治療をしても子どもができる確率は1割くらいなんです。

 実際にあった身近な話として、ある知人の女性が仕事に打ち込み、30歳になって仕事に目途が立ったので結婚して子供を産もうとしましたが、その時は既にその女性には卵子が無いと医者に言われた事例があります。不幸にもその女性は30~34歳の生涯不妊率15%の内の一人だったのです。
 また、齊藤英和医師は次のように述べています。

「目をそらしたくなるかもしれませんが、生物として出産に適した時期は20代。妊娠にはタイムリミットがあります。いつでも産めると簡単に考えることは非常にリスクが高いことです」。
 女性の体内にある卵子の数は、排卵がなくとも加齢とともにどんどん減少していくからだ。

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 また、日本産婦人科医会(Japan Association of Obstetrician and Gynecologists)のHPの「産婦人科ゼミナール」の「栗林先生・杉山先生の開業医のための不妊ワンポイントレッスン」の「1.妊娠適齢年令」には、次のように記されています。

女性の年齢変化と卵子については周知のとおり、卵子の数は胎生期の20週の頃に600-700万個と一番多く、出産時期になると200万個までに減少する。さらに思春期から生殖適齢期には30-50万個に、37歳くらいまでに2万個に、閉経時期の51歳までには1000個程度にまで減少する。また、女性の妊娠しやすさは、おおよそ32歳位までは緩徐に下降するが、卵子数の減少と同じくして37歳を過ぎると急激に下降していく。

 以上のことから、子どもは30~32歳頃までに生み終えるのが望ましいことが分かります。