T05-04

5.4.離婚しなければ生まれたであろう子供の数の推計

 「5.2.年齢階層別の離婚数の推移」で離婚による失われた子供の数の一部の蓋然性について記しましたが、ここで離婚が少子化へ与える影響を知るために、失われた全体の出生数の推算を試みます。
 厚生労働省の統計表 「第2表-1 人口動態総覧の年次推移」によれば、平成20年(2008年)のデータでは、251,136組が離婚しており、表5—1によれば39歳以下は158,716組63.2%です。この内離婚当時子どもが無なかったのは56,441組で、子供がいたが離婚したのは102,275組です。
 『少子化白書』から持ちたい子ども数を図5—7として引用します。

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 図5—7によれば、理想の子供数は2.32人で、現実に夫婦が予定している人数は2.01人となっています。
 すでに記したように、39歳以下で離婚当時子どもが無い56,441組が離婚せずに2008年時点の予定子供数2.1人の子を生んでいたら118,526人が生れていたことになります。子どもを連れて離婚した組数は102,275組が離婚せずに1人の子を生んだと仮定すれば、102,275人が生れたことになります。
 合計118,526人+102,275人=220,801人が生れたかもしれず、251,136組の全離婚組数の1組当たり0.879人が離婚によって失われたことになります。
 平成20年(2008年)には、220,801人の出生者が離婚によって消え去ったのです。
 2020年の実際の出生数は840,835人ですから、2020年の184,384組の離婚が無ければ2020年には184,384×0.879=16万2,073人が追加して生れた蓋然性があったのです。実際の出生数の21.9%に相当する子どもが離婚により減ったのです。
 このように、離婚数を減らすことは少子化対策の一つとしての意義が大きいと言えます。