離婚は、既に見た①～⑳のように、相手のことなど考えずに、自分のためだけに好き勝手な行動する利己主義から起こると思われます。では利己主義はどこでどのようにして生まれてくるのでしょうか。
考えてみると、生まれたての赤ん坊の動作や行為は利己主義そのものです。これは赤ちゃんが生きて行くための本能だと思います。赤ん坊は利己主義のそのものなのに母親はなぜその子を可愛がって育てることができるのでしょうか。それは、赤ん坊は利己主義が満たされた時、喜びの笑顔で母親に喜びを還しているからです。母に優しくしてもらった時、赤ん坊は幸せの満面の笑顔で喜びを返すのです。これが母親の喜びとなり、母と子の関係がうまくゆくのです。夫婦の間でも同じことが言えるのではないでしょうか。
　上に述べた過程を経ながら、一般的には、赤ん坊から幼年・少年・青年へと成長する過程で、利己主義的な行為は自分にとっても不利であり、好ましくないことを学んで、徐々に利己主義から脱皮して大人になって行くことが観察されます。
　しかし不幸なことに、大人になっても利己主義に凝り固まった人がいるのは主に両親の子供への接し方に問題があると思います。その子を唯甘やかし、全て子供の好き勝手にさせ、周囲の人のことを自分と同じように配慮することを躾なかった両親に問題があると思います。また学校など、人が育ってゆく過程での教育や躾にも問題があると思われます。
　利己主義的な人は、赤ん坊が持って生まれた自己中心的な利己主義を持ったまま大人になってしまったのです。彼らや彼女たちは周囲の人のことや自分の将来のことを考えて行動することが身についていないのです。利己主義的な人の両親は、その刹那の満足に浸って甘やかすだけで、本来の人としての在るべき姿を教え込まないことで、その子たちを不幸にしてしまったと言えます。
　子供を育てるのは、本来の社会人としての人々との協力の大切さ、人々への愛情と思いやり、何かを成し遂げる喜びと努力やそのための忍耐の大切さ、人々へ奉仕することで得られる満足と喜びなどを教え体験させることだと思います。
　逆にただ甘やかすだけで何の仕事もさせず、何の訓練や躾もしない親がいます。これは子供にとって最も残酷な育て方であることを認識しない両親が、利己主義に固まり、自己抑制ができない、離婚しやすい人を作っていると思われます。
　この状況を改善し、利己主義を撲滅し、離婚を減らす責務は誰にあるのでしょうか。その第一の責務は両親にあります。しかし、両親に子供を躾ける意志も能力もない場合がありますので、第二の責務は学校などの教育機関とメディアなどだと思います。このためには文部科学省は学習指導要領に利己主義を撲滅する事項を強化して欲しいと思います。