6.7.児童手当
日本には児童手当制度があり、内閣府の「児童手当」には次の記述があります。
児童手当は、子ども・子育て支援の適切な実施を図るため、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的としています。0歳児から中学校卒業までの児童を養育している方に支給されます。
日本の児童手当制度は良く考えられた素晴らしい制度だと思いますが、この児童手当制度では少子化を阻止できないと思います。
たとえば、年収150万円の非正規雇用労働者の場合、1人の子ども生めば、毎月15,000円の児童手当を受給できます。1年間で18万円の受給です。合計の年収は168万円になります。年収150万円が168万円になるからと、子供を生む気持ちに成る人は居ないと予想されます。年収が200万円の場合も同様だと思います。
年収150~200万円前後の低所得者層の人にとって、子供を生もうとする気になるには、年収と手当の金額が低すぎるのです。少なくとも、500万円以上の年収がないと子どもを生む気にならないことは図6—8から分ります。
年収200万を児童手当で年収500万円に嵩上げするには、児童手当が年間300万円必要です。これは、0~3歳児の1人の児童手当を15,000円から月額250,000円にアップしなければなりません。しかし、年収よりも多い手当は邪道であり、可能であっても実施すべきではなく、低所得者の年収を引き上げる施策を優先的に執るべきだと思います。
ある程度以上の所得があり何とか安定した生活ができている世帯にとって、児童手当が出産を促すようにするには、現在の第1子15,000円を5~60,000円程度に引き上げれば、年間60~72万円の手当になるので、出産を促す効果があるように思われます。
この児童手当を引き上げる責務は誰にあるのでしょうか。児童手当は「昭和四十六年法律第七十三号 児童手当法」に規定されています。この法律を管轄しているのは厚生労働省であり、内閣府の子供子育本部として児童手当に関与しています。まず与野党の政治家・国会議員は児童手当法を改定する提議や議決する責務があり、厚生労働省と内閣府にはこれに従って具体案を作成して国会の審議を受ける責務があります。もちろん、厚生労働省や内閣府の子供子育本部が世局的に立案して国会の承認を得ることに取り組んでもらえれば嬉しいことです。
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