T07-11

7.11.高齢者はこれまでの日本発展の功労者です

 すでに見たように、日本は世界の主要国の中で、65歳以上の人口の比率が28.6%で最も高くなっており、年少者と働く人の割合は世界で最低になっていました。この少子化の進展と長寿命化が合わさり、高齢人口比率の世界で突出した高さが、更に強まるとされています。
 もし、このまま少子化が推移すれば、長寿命化と合わさって次のような現象がさらに強くなることが考えられます。

① 高齢者の多くは所得税を払わないので国の財政収入には貢献しない。
② 高齢者は消費が少なく、消費税も少ないので財政収入には貢献しない。
③ 高齢者の多くは既に持ち家が有り、日本で家が新築されない。
④ 家の新規が無いので、TV・家電製品・家具・器具などの需要が生れない。
⑤ その上高齢者が死ねば空き家が発生し、さらに住居の新築を阻害する。
⑥ 高齢者は不活発で、交通機関や観光地の収入は減少し、芸術活動も停滞する。
⑦ 高齢者は自動車を購入せず、自動車産業とその関連産業を衰退させる。
⑧ 介護を必要とする高齢者が増えるので介護に関する国の支出が増える。
⑨ 介護や老人施設や医療関連の人が増え、他の分野で働く人が減る。
⑩ 高齢者は年金生活するので国家財政の負担が増大する。
⑪ 高齢者は多くの医療を必要とし、国や公的機関の負担となる。
⑫ 高齢者は生活・介護に若者とお金を必要とし、安全保障が手薄となる。
⑬ 高齢者は研究開発活動をせず、科学的発見や新技術が生れにくくなる。
⑭ 農漁村や山間僻地の村落や離島では高齢化が進み、学校・幼稚園・商店・村役場・医院さえ維持できず、消滅の危機が待っている。

 上の現象は高齢者が悪いような印象を持つかもしれませんが、問題の本質は出生者の減少(少子化)にあります。上の①~⑫は、出生者が少ない状態が長年継続し、一方医療の改善などにより長寿命化が進んだ結果です。今後、出生者が増えれば上のような問題は生じないと思います。
 高齢者は、これまでの日本を支えて発展させ、次世代の子孫を生み育て、現在でも多くの人が少子化による人口減少を補って働いています。この人たちを大切にしなければなりません。その上で、少子化を阻止して日本の根幹が揺らぐ事態の発生を防ぐ方策が求められているのです。