7.4.高年齢者雇用安定法とその改正法
厚生労働省のHPの高年齢者雇用安定法に関する説明を以下に引用します。
高年齢者雇用安定法は、少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図る法律です。
これまでの高年齢者雇用安定法 ~65歳までの雇用確保(義務)~
○ 60歳未満の定年禁止 (第8条)
事業主が定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上としなければなりません。
○ 65歳までの雇用確保措置 (第9条)
定年を65歳未満に定めている事業主は、以下のいずれかの措置(高年齢者雇用確保 措置)を講じなければなりません。
① 65歳までの定年引き上げ
② 定年制の廃止
③ 65歳までの継続雇用制度の適用者は原則として希望者全員です。
改正のポイント ~70歳までの就業機会の確保(努力義務)~
65歳までの雇用確保(義務)に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務を新設。(令和3年4月1日施行)
① 70歳までの定年引き上げ
② 定年制の廃止
③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入 (特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
今回の改正は、個々の労働者の多様な特性やニーズを踏まえ、70歳までの就業機会の確保について、多様な選択肢を法制度上整え、事業主としていずれかの措置を制度化する努力義務を設けるものであり、70歳までの定年年齢の引上げを義務付けるものではありません。
その他、高年齢者が離職する際に事業主が講ずべき措置等についても改正されており、各事業主においては、70歳までの高年齢者の離職について留意が必要です。
このようにして日本の少子化による労働力不足は、長寿命化のお陰で定年年齢の引き上げによって補われてきました。そして2021年の高年齢者雇用安定法の改正では、70歳までの定年延長が企業の努力義務として定められました。現在は法改正の経過措置期間にあたり、2025年4月からはすべての企業に「65歳への定年の引き上げ」「定年廃止」「70歳までの継続雇用制度」のいずれかの実施が義務づけられます。
この改正により、個々の人の健康状態や働く意欲や働く必要性などに応じて、自由に働けるようにすれば、少子化による人口減少の問題を少しでも軽減できる良い手段だと思います。
定年について海外に目を転ずると、ドイツとフランスは、社会保障費の財源確保などの一環として、段階的に67歳まで引き上げることが決まっています。ドイツは2029年までで、フランスは2023年までに引き上げる予定です。そしてアメリカとカナダおよびイギリスは定年制を禁止しています。その理由は、年齢による差別をなくすためであると言われています。
図7—2の生命表によれば、60歳定年制が確立していた平成7年(1996年)頃の60歳男性の平均余命は20年で、令和2年(2021年)の65歳の人の平均余命も20年です。すなわち、日本の定年年齢は平均余命を20年残した年齢に設定されていました。そして生れて来た10万人の内、65歳時点での生存者は89,734人になります。
この改正により、個々の人の健康状態や働く意欲や働く必要性などに応じて、自由に働けるようにすれば、少子化による人口減少の問題を少しでも軽減できる良い手段だと思います。
定年について海外に目を転ずると、ドイツとフランスは、社会保障費の財源確保などの一環として、段階的に67歳まで引き上げることが決まっています。ドイツは2029年までで、フランスは2023年までに引き上げる予定です。そしてアメリカとカナダおよびイギリスは定年制を禁止しています。その理由は、年齢による差別をなくすためであると言われています。
図7—2の生命表によれば、60歳定年制が確立していた平成7年(1996年)頃の60歳男性の平均余命は20年で、令和2年(2021年)の65歳の人の平均余命も20年です。すなわち、日本の定年年齢は平均余命を20年残した年齢に設定されていました。そして生れて来た10万人の内、65歳時点での生存者は89,734人になります。
コメント