T07-07

7.7.世界主要国の一人当たりのGDPの推移

 IMF World Economic Outlookで世界の一人当たりのGDP推移を見ると、日本の停滞の様子が見えてきます。図7—6の中の数値は日本の一人当たりGDPの推移です。
 世界の主要国の中で、唯一日本だけが、2010年から2020年の10年間で、一人当たりのGDPが減少し、20年前の状態に戻っています。
日本は2000年から停滞して、すでに衰退が始まり、貧しくなり始めていると認識すべきかもしれません。
 一方、経済規模が大きくて既に成熟していると思われるアメリカは、過去30年間で2.66倍へと堅実に成長しており、韓国は過去30年間で4.86倍に成長し、中国は30.1倍と驚異的に成長しています。

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 図にありませんが、イギリス・フランス・オーストラリア・インドなども確実にGDPが成長しています。1人当たりのGDPが低下しているのは世界主要国では日本だけです。
 なぜ、日本は1人当たりのGDPが減少しているのでしょうか。それは2,000万人を越える低賃金の非正規雇用労働者が大量に生み出され、全世帯の平均所得も100万円も低下させている労働政策の結果であり、低収入のため個人消費が減少し、商店の売り上げも低迷し、これらの商品を生産販売する企業も売り上げも伸びなかったからです。根本は労働者の低賃金にあります。これは少子化の元凶でもあります。過去に日本は総中間階級化したと言われましたが、現在は総貧困階級化したのです。