T08-07

8.7.少子化社会対策大綱
~新しい令和の時代にふさわしい少子化対策へ~

以下、要点のみ転記します。

◦少子化社会対策基本法に基づく総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策の方針
◦2004年、2010年、2015年に続く第4次の大綱
◦令和2年(2020年)5月29日 閣議決定

〈背景〉
◦少子化の進行は、人口(特に生産年齢人口)の減少と高齢化を通じて、社会経済に多大な影響
◦少子化の主な原因は、未婚化、晩婚化、有配偶出生率の低下
◦背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因として、経済的な不安定さ、出会い機会の減少、男女の仕事と子育ての両立の難しさ、家事育児の負担が依然として女性に偏っている、子育て中の孤立感、子育てや教育にかかる費用負担の重さ、年齢や健康上の理由、などがある。
◦希望の実現を阻む障害を打破するため、長期的な展望に立ち、必要な安定財源を確保しながら、総合的な少子化対策を大胆に進める必要
◦新型コロナウイルス感染症の流行は、安心して子供を生み育てられる環境整備の重要性を改めて浮き彫りにした。
 学校の臨時休業等により影響を受ける子育て世帯に対する支援等の対策と併せて、非常時の対応にも留意しながら総合的な少子化対策をすすめる。

〈基本的な目標〉
◦「希望出生率1.8」の実現に向け、令和の時代にふさわしい環境を整備し、国民が結婚、妊娠、出産、子育てに希望を見出せるとともに、男女が互いに尊重しつつ、主体的な選択により、希望する結婚ができ、かつ、希望するタイミングで希望する数の子供を持てる社会をつくる。(結婚、妊娠、出産子育ては個人の自由な意思に基づくものであり、個々人の決定に特定の価値観を押し付けたり、プレッシャーを与えたりすることがあってはならないことに十分留意)

〈基本的な考え方〉と〈重点課題〉
1.結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる
 ・若い世代が将来に展望を持てる雇用環境等の整備
 ・結婚を希望する者への支援
 ・男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備
 ・子育て等により離職した女性の再就職支援、地域活動への参画支援
 ・男性の家事・育児参画の促進・働き方改革と暮らし改革
 ・働き方改革
2.多様化する子育て家庭の様々なニーズに応える
 ・子育てに関する支援
 ・在宅子育て家庭に対する支援
 ・多子世帯、多胎児を育てる家庭に対する支援
 ・妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援
 ・子育ての担い手の多様化と世代間での助け合い
3.地域の実情に応じたきめ細かな取組を進める
 ・結婚、子育てに関する地方公共団体の取組に対する支援
 ・地方創生と連携した取組の推進
4.結婚・妊娠・出産・子供・子育てに温かい社会をつくる
 ・結婚を希望する人を応援し、子育て世帯をやさしく包み込む社会的機運の醸成
 ・妊娠中の方や子連れに優しい施設や外出しやすい環境の整備
 ・結婚・妊娠・出産・子供・子育てに関する効果的な情報発信
5.科学技術の成果など新たなリソースを積極的に活用する
・結婚支援・子育て分野におけるICTやAI等の科学技術の成果の活用促進

〈ライフステージの各段階における施策の方向性〉
1.結婚前
 ・ライフプランニング支援
 ・若い世代のライフイベントを応援する
2.結婚
 ・経済的基盤の安定…若者の就労支援、非正規雇用労働者の正社転換・待遇改善を進める
 ・地方公共団体による総合的な結婚支援の取組に対する支援等
 ・ライフプランを支える働き方改革…雇用形態に拘らない公正な待遇の確保と長時間労働の是正
3.妊娠・出産
 ・妊娠・出産前からの支援…妊娠・出産前に関する医学的・化学的な知識の提供
 ・妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援…育成基本法を踏まえ地域おける妊娠期から子育て期の支援
 ・安全かつ安心して妊娠・出産できる環境の整備
4.子育て
 ・子ども・子育て支援…実施主体である市町村が住民のニーズを把握した上で、地域の実情に応じて子ども・子育て支援の充実を図る
 ・子育てに関する経済的支援。教育費負担の軽減…育児手当、幼児教育・保育の無償化
 ・仕事と子育てを両立するための働き方改革…非正規雇用労働者が安心して働けるよう配慮する
 ・以降省略

 第4次の少子化社会大綱になって、はじめて「雇用形態に拘らない公正な待遇の確保と長時間労働の是正」および妊娠・出産前に関する医学的・科学的な知識の提供の課題が登場しました。ようやく少子化対策の本質に迫れることが期待されます。