結婚しなければ子供も生まれません。その結婚をできない人々がいます。2,000万人を超える非正規雇用労働者です。この人たちは同じ仕事でも正規雇用の人に比べて、2分の1から3分の1の年収です。結婚も出産も出来ない少ない年収の人々の存在、これが日本の少子化の元凶のひとつです。 ...
カテゴリ: 2.結婚できない非正規従業員
2.2.非正規職員・従業員が結婚できない理由
『少子化白書』に雇用形態別の結婚している率がありますので、これを図2—3として引用しました。図2—3によると、20~34歳の男性の場合、配偶者の有る率は、非正規の職員・従業員と正規の職員・従業員とで3倍ほどの差異があります。なぜか?その理由は図2—4にあります。 ...
2.3.最低賃金と生活保護
非正規雇用労働者(職員・従業員)と言われる人は、最低賃金かその少し上の賃金で働く場合が多く、最低賃金は非正規雇用労働者(職員・従業員)の基準賃金的な面があるようです。その最低賃金は最低賃金法で次の規定があります。 ...
2.4. 非正規雇用労働者の実情
非正規雇用労働者は、正社員と言われる正規雇用労働者に対応する呼称で、15歳以上のパート・アルバイト・派遣社員・契約社員・嘱託などの総称です。2022年4~6月期の雇用形態別のデータで、非正規雇用労働者は男女合わせて2,084万人で、男性669万人、女性1,415万人です。この人たちは最低賃金に近い低賃金で働いているのです。非正規雇用労働者は、正規雇用の職員・従業員(正社員)3618万人と合わせた全雇用労働者5702万人の36.5%になります。その構成を図2—6に示しました。 ...
2.5.非正規の職員・従業員になった動機
非正規雇用労働者はどのような動機でその雇用形態に就いたのか、2013年の総務省統計局の<労働力調査ミニトピックス No.7>の「非正規の職員・従業員がその雇用形態に就いた主な理由」のデータを図2—10、図2-11にしました。 図2—10は、年齢区分の関係で、「正規の職員・従業員の仕事が無い」の比率が正確ではないと思われます。例えば、15~34歳の中には高等学校で勉学中の15~17歳の人が含まれ、18~21歳の大学生はまだ仕事に就いていない人が多く存在します。 ...
2.6.地方公務員の非正規雇用の実態
東京新聞・経済・2022年3月19日には次の記述があります。手取り14万円の劣悪な待遇…非正規化進む地方公務員、15年で1.5倍に「公共サービス持続困難に」。地方自治総合研究所の上林陽治研究員の調査では、「年収500万〜700万円の正規職員と比べ、(非正規雇用者の年収は)その3〜4割の水準にとどまる。」と記されています。すなわち、年収180~280万円です。 ...
2.7. 非正規労働制度の始まりと関連法
このような差別社会になる雇用制度は誰が何時頃創ったのでしょうか。そしてどのような経過をたどったのでしょうか。 労働力人口(非正規割合の推移) ~増える非正規、変わる非正規~ – 組織・人事コンサルティングの株式会社トランストラクチャ (transtructure.com)に2021年1月26日付の図が有りましたので、図2—13として引用させてもらいます。 ...
2.8. 企業の内部留保と非正規雇用労働者
すでに見たように、企業や地方公共団体などの職員・従業員の身分は正規従業員・非正規従業員に分かれています。この制度は従業員を雇う立場からすれば採用人員の柔軟性が確保され、経費を削減し利益を増やせるので好ましいことです。 一方、雇われる人の立場ならすれば、パートやアルバイトなど自由に働く時間を自分で選べる必要がある場合を別にして、正規従業員と同一の仕事をしているいのに非正規雇用従業員であるからとの理由で賃金を結婚できないほど低く抑えていることは、困った問題です。 ...
2.9.国際的な賃金とGDPの比較
これまでは非正規雇用労働者や最低賃金の人に関して述べてきましたが、日本全体の労働者の状態を国際的に比較して見てみます。 図2—18を見ると、日本だけが1人当たりの実質賃金が横ばいで、30年間まったく伸びていません。図2—19のようにすでに韓国にも追い抜かれています。 ...
2.10.非正規雇用者への差別待遇の禁止
令和3年(2021年)4月12日の「政府広報オンライン」に「2021年4月1日からパートタイム・有期雇用労働法が中小企業も適用に」との記事が掲載されています。「正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差が禁止されます!」との見出しで、その要点を分かりやすく紹介されていますので、図2—22として次に引用します。 ...
2.11. 日本の舵取りをしている方々へのお願い
日本の少子化が進んでいる重要な要因は日本の失われた30年の停滞です。30年間の経済・賃金の停滞の原因は、企業が内部留保の蓄積に熱心で国内投資を怠り、かつ2,000万人を越える非正規雇用労働者を極めて低い賃金で働かせ、一般世帯の年収も低下させていることです。そして結婚も出産も出来ないワーキングプア―を生み出している最低賃金の存在です。日本人の労働者層の大部分が低収入になり、日本全体が貧しくなり、消費を控えて経済が停滞し、結婚もできず、子供も生めなくなり、少子化が進んだのです。 ...