少子化は、日本の舵取りをしている各分野のトップ層の方々の真剣な取り組みがないと成功しないと思います。少子化の現状とその要因について見てきましたので、その結果として、私見を交えた具体的な提案をします。ぜひこの提案を実現して少子化をストップし、日本を危機から救ってくださるよう、日本の各界のトップ層の皆様にお願いをします。 ...
カテゴリ: 10.少子化対策の要点
10.2.最低賃金法の改定
改定すべき事項 1).(地域別最低賃金の原則)における「生活保護に係る施策との整合に配慮する」との条文を削除する。この条文は最低賃金で働く人の収入を被保護世帯への給付金よりも、名目及び手取りで低くしている。 2).最低賃金でフルに働いた場合、手取り(各種税引き後)金額が、ワーキングプア―とならず、安心して生活して結婚できる最低賃金の額を設定する。このため現行の金額より大幅に引き上げる必要がある。 ...
10.3.労働基準法の改定
改定すべき事項 1).労働基準法の労働組合或いは労働者の代表との協議により、次の例外的な超過勤務ができるとの規定を廃止し、禁止する。・年間720時間以内 ・複数月平均80時間以内 ・月100時間未満 ...
10.4.雇用機会均等法・男女共同参画社会基本法の見直し
〇見直すべき事項 1).(目的)の条項に、‥‥、女性労働者の就業に関して結婚前・妊娠前・妊娠中及び出産後の健康と生活の確保・・・・の文字を追記する。 ...
10.5.児童手当法の修正
〇見直すべき事項 1).(児童手当の額)第六条の支給金額を、実質的に出産を促進する効果があると思われる金額まで大幅に引き上げる。2).次の附則の第二条の「児童手当の効果的な支給」の中に、児童の数に応じた支給金額を含める。 ...
10.6.教育基本法の見直し
〇見直すべき事項 1).下記の第一条の「‥‥社会の形成者としての必要な資質‥‥」に関してその定義をする条項を新設する。特に、離婚に繋がる他人を顧みない自分勝手な資質は、社会の形成者として好ましくない資質であることを明確にする。 ...
10.7.産業政策の見直しの必要性
企業が海外に投資する場合に幾つかのパターンがあります。その一つは日本で開発された製品を海外の国で生産販売し、日本へは輸入しないケースです。この場合でもそれまで輸出していた分が現地生産に置き換わるので、日本での生産が減り、労働者の必要性が減ります。得た利益と技術使用料などは出資者のものとなり、労働者や技術開発者に還元されることはありません。 ...
10.8.法人税と所得税の見直し
見直すべき税制は法人税、所得税、消費税です。消費税は別項で記します。法人税は財務省資料によると図10—1、図10—2、図10—3の通りです。財務省は次の考え方で、直近の法人税改革を行ったと記しています。 ...
10.9.消費税率の引き上げ
国の運営には必ずお金が必要です。少子化対策も国費が必要です。その費用を所得税・法人税・酒やたばこ税などと共に消費税で賄っています。国民が等しく国の運営費を負担する意味では、消費税は公平な税制だと思います。 ...
10.10.少子化対策の突破口を開く
先に記した事項は専門家を含めて、多くの方々の検討が必要であり、ある程度時間が必要かと思われます。そこで少しでも少子化対策を進めるために、出来ることから始めるのが良いと思います。 その第一は、民間部門と地方公務員・国家公務員の中で、正社員・正規職員と同じ仕事を担当している25~59歳の非正規雇用労働者・非正規公務員に対して、正社員・正規職員との大きな待遇差別を解消することです。この差別を解消して、非正規雇用労働者の待遇を引き上げても、民間企業の内部留保の増加が少なくなるだけで、問題ありません。このことは、本書の「2.7.企業の内部留保と雇用形態」で記したように、民間企業にとって直ちに実施可能であると言えます。 ...
10.11.日本の歴史的な人口推移
過去30年間の少子化対策の無策により、子供を生める年代の女性の数が年々減少しているので、今後20~30年間は日本の少子化の進展は避けがたいと言えます。日本人の数が年々減少するのは確実であり、一方長寿命化により高齢者の比率が高まることも確実です。この現実は受け入れる以外に方法はありません。そこで少子高齢化の進行する中で、私たちは如何にすべきかを考え実行してゆく必要があります。 ...
10.12.今後の出生数の予測
2021年の合計特殊出生率は1.33で男女2人が生涯に平均で1.33人の子供を生む少子化となっています。この勢いで少子化が進めば、日本は人口が減少し衰亡へと向かいます。日本はこの危険な少子化を止め、滅亡へ向かう現状から脱出できるのでしょうか。日本の少子化対策を難しくしている要因は年齢別の人口構成にあります。この様子を1930年、1950年と215年を対比して図10—6に示します。 ...
10.13.超高齢化社会を乗り切るために
2023年現在は少子高齢化が急激に進む過程にあり、若年者が少なく高齢者が多い超高齢化社会へと向かっています。図10—9は『少子化白書』のデータに従って筆者が作ったものです。この図10—9を見ると、65歳以上の人の比率は1950年には4.9%でしたが、2015年に28.5%まで高まり、2065年には38.1%になると推計されています。 ...
10.14.静止人口社会へ向けて
日本には、慶長5年(1600年)から江戸時代の享保6年(1721年)までの121年間に2.55倍の急激な人口増がありました。この人口の増加は大きな社会的変化を必然的に伴いますが、この変化に人々が順応して静止人口社会として安定するまでに、121年が必要でした。その後、江戸時代の後半は約3,200万人の安定した静止人口社会が125年間続き、この間に色々な江戸文化が花開いたのです。 ...