日本は世界でも屈指の長寿国であり、これは望ましく誇るべきことです。少子化と長寿命化が同時に進行している日本の現状を確認し、今後どのような課題があり、これに如何に対応すべきか考えてみましょう。 ...
カテゴリ: 7.長寿命化の影響
7.2.生命表を見る
厚生労働省の第23回生命表および第8回簡速静止人口表(生命表)を、ここでは図7—2と図7—3として引用しました。図7—2と図7—3は、生まれた10万人のその後の生存数の推移を年齢の経過と共に示してあり、年齢が高くなるにしたがって男性では75歳ごろから、女性では83歳前後から急激に生存者の数が減少し、男性では105歳で生存者はほぼゼロになり、女性では110歳でほぼゼロになっています。 ...
7.3.定年退職制度
定年退職は一定の年齢に達したことを理由として退職することで、その始まりは、1887年に海軍の火薬製造所が55歳の定年を設けたのが最初といわれています。明治24~31年(1891~1898年)の第1回生命表によれば当時の平均余命は40.28歳と言われていますから、55歳の定年はだいぶ高齢な設定をしていたようです。 ...
7.4.高年齢者雇用安定法とその改正法
厚生労働省のHPの高年齢者雇用安定法に関する説明を以下に引用します。高年齢者雇用安定法は、少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図る法律です。 ...
7.6.世界の主要国の年齢別人口割合と高齢化率
『少子化白書』をもとに図7—4を作成しました。図7—4に見るように、日本は65歳以上の人口の比率が28.6%で世界の主要国の中で最も高く、0~14歳の人と15~64歳の人の割合は世界で最低になっています。 ...
7.7.世界主要国の一人当たりのGDPの推移
IMF World Economic Outlookで世界の一人当たりのGDP推移を見ると、日本の停滞の様子が見えてきます。図7—6の中の数値は日本の一人当たりGDPの推移です。世界の主要国の中で、唯一日本だけが、2010年から2020年の10年間で、一人当たりのGDPが減少し、20年前の状態に戻っています。 ...
7.8.60歳以上の者の暮らし向き
内閣府「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(令和2年度)によれば、日本の60歳以上の高齢者の暮らし向きは次の図7—7ようになっています。図7—7を見ると、「少し困っている」と「困っている」を合わせると33.8%が暮らしに困っています。 ...
7.9.高齢期の健康状態
スポーツ庁が行った新体力テストの結果を図7—13と図7—14に示します。令和元年の70~74歳、75~79歳の女子の新体力テスト(握力、上体起こし、長座体前屈、開眼片足立ち、10m障害物歩行、6分間歩行)の合計点は、それぞれ平成13年の合計点を上回っています。 ...
7.10.高齢化の社会保障費給付に対する影響
『令和4年版高齢社会白書』より転載します。社会保障給付費(年金・医療・福祉その他を合わせた額)全体について見ると、令和元年度は123兆9,241億円となり過去最高の水準となった。また、国民所得に占める割合は30.88%となった。社会保障給付費のうち、高齢者関係給付費について見ると、令和元年度は82兆444億円となり、前年度の80兆8,582億円から1兆1,862億円増加した。なお、社会保障給付費に占める割合は66.2%となっている。 ...
7.11.高齢者はこれまでの日本発展の功労者です
すでに見たように、日本は世界の主要国の中で、65歳以上の人口の比率が28.6%で最も高くなっており、年少者と働く人の割合は世界で最低になっていました。この少子化の進展と長寿命化が合わさり、高齢人口比率の世界で突出した高さが、更に強まるとされています。 ...
7.12.高齢関係支出の実態
国立社会保障・人口問題研究所の「令和2年度 社会保障費用統計」によれば、高齢関係支出は1980年から2020年までの40年間にGDP比で3倍に増大しています。この関係を図7—19に示します。 ...
7.13.日本の舵取りをしている方々へのお願い
日本では長寿命化が進んで、高齢者が増えた結果、年金・医療など年々多額のお金を使っています。そしてこの資金を賄うべき日本のGDPは停滞しています。このままでは破綻が避けられません。いつまでこの状態を続けることができるのでしょうか。 ...