先に記した事項は専門家を含めて、多くの方々の検討が必要であり、ある程度時間が必要かと思われます。そこで少しでも少子化対策を進めるために、出来ることから始めるのが良いと思います。 その第一は、民間部門と地方公務員・国家公務員の中で、正社員・正規職員と同じ仕事を担当している25~59歳の非正規雇用労働者・非正規公務員に対して、正社員・正規職員との大きな待遇差別を解消することです。この差別を解消して、非正規雇用労働者の待遇を引き上げても、民間企業の内部留保の増加が少なくなるだけで、問題ありません。このことは、本書の「2.7.企業の内部留保と雇用形態」で記したように、民間企業にとって直ちに実施可能であると言えます。 ...
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8.10. 施策に関する数値目標
『少子化白書』の「別添2」に「施策に関する数値目標」がありますので、次ページに転載します。この表は日本政府が少子化に取り組んでいる内容の詳細が良く分かるので、敢えて次ページに引用します。 ...
7.7.世界主要国の一人当たりのGDPの推移
IMF World Economic Outlookで世界の一人当たりのGDP推移を見ると、日本の停滞の様子が見えてきます。図7—6の中の数値は日本の一人当たりGDPの推移です。世界の主要国の中で、唯一日本だけが、2010年から2020年の10年間で、一人当たりのGDPが減少し、20年前の状態に戻っています。 ...
6.6.出産できる年収
図6—7を見ると、出産適齢期の34歳以下の妻は、子育てや教育にお金がかかり、そのお金が無くて出産を控えていることが分ります。「 リセマム (resemom.jp)」によれば、SMBCコンシューマーファイナンスが20~40代に行った金銭感覚の意識調査によると、出産・子育てを前向きに考える割合が50%を超えるのは、世帯年収が600万円ある場合であることが明らかになりました。図6—8はReseMomからの引用です。 ...
5.7.日本の舵取りをしている方々へのお願い
2021年の結婚組数50.1万組に対し36.8%に当たる18.4万組が離婚して、出生者を減少させています。日本では少子化対策として、結婚と出産を促進するために、多くの人が知恵を出して努力し、多額の国家予算が投入されていますが、離婚対策が放置されています。離婚対策は非正規雇用労働者への差別待遇の解消と利己主義的な考えの排除が大切です。 ...
5.3.就業形態による離婚率の差異
厚生労働省が行った「21世紀出生児縦断調査及び21世紀成年者縦断調査 特別報告書」には就業形態による離婚率の差が、正規雇用者を基準として図示されています。それを図5—6として下に転載しました。 ...
5.離婚者の累積
「健(すこ)やかなる時も 病める時も、喜びの時も 悲しみの時も、富める時も 貧しい時も、互に愛し 敬い 慰め合い 共に助け合い、その命ある限り真心を尽くす」ことを誓って結婚したはずですが、なぜか身の周りには離婚した人が多くいます。離婚の理由は千差万別であり、離婚も個人の自由ですが、結果として子供を生まなくなるので、少子化の重要な要因です。 ...
2.11. 日本の舵取りをしている方々へのお願い
日本の少子化が進んでいる重要な要因は日本の失われた30年の停滞です。30年間の経済・賃金の停滞の原因は、企業が内部留保の蓄積に熱心で国内投資を怠り、かつ2,000万人を越える非正規雇用労働者を極めて低い賃金で働かせ、一般世帯の年収も低下させていることです。そして結婚も出産も出来ないワーキングプア―を生み出している最低賃金の存在です。日本人の労働者層の大部分が低収入になり、日本全体が貧しくなり、消費を控えて経済が停滞し、結婚もできず、子供も生めなくなり、少子化が進んだのです。 ...
2.8. 企業の内部留保と非正規雇用労働者
すでに見たように、企業や地方公共団体などの職員・従業員の身分は正規従業員・非正規従業員に分かれています。この制度は従業員を雇う立場からすれば採用人員の柔軟性が確保され、経費を削減し利益を増やせるので好ましいことです。 一方、雇われる人の立場ならすれば、パートやアルバイトなど自由に働く時間を自分で選べる必要がある場合を別にして、正規従業員と同一の仕事をしているいのに非正規雇用従業員であるからとの理由で賃金を結婚できないほど低く抑えていることは、困った問題です。 ...
2.5.非正規の職員・従業員になった動機
非正規雇用労働者はどのような動機でその雇用形態に就いたのか、2013年の総務省統計局の<労働力調査ミニトピックス No.7>の「非正規の職員・従業員がその雇用形態に就いた主な理由」のデータを図2—10、図2-11にしました。 図2—10は、年齢区分の関係で、「正規の職員・従業員の仕事が無い」の比率が正確ではないと思われます。例えば、15~34歳の中には高等学校で勉学中の15~17歳の人が含まれ、18~21歳の大学生はまだ仕事に就いていない人が多く存在します。 ...
2.4. 非正規雇用労働者の実情
非正規雇用労働者は、正社員と言われる正規雇用労働者に対応する呼称で、15歳以上のパート・アルバイト・派遣社員・契約社員・嘱託などの総称です。2022年4~6月期の雇用形態別のデータで、非正規雇用労働者は男女合わせて2,084万人で、男性669万人、女性1,415万人です。この人たちは最低賃金に近い低賃金で働いているのです。非正規雇用労働者は、正規雇用の職員・従業員(正社員)3618万人と合わせた全雇用労働者5702万人の36.5%になります。その構成を図2—6に示しました。 ...
2.3.最低賃金と生活保護
非正規雇用労働者(職員・従業員)と言われる人は、最低賃金かその少し上の賃金で働く場合が多く、最低賃金は非正規雇用労働者(職員・従業員)の基準賃金的な面があるようです。その最低賃金は最低賃金法で次の規定があります。 ...